[Exhibition] 津田直: IHEYA・IZENA

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、写真家 津田直による新作写真集[IHEYA・IZENA]の刊行に合わせた写真展を開催いたします。
[IHEYA・IZENA]は、limArtから刊行された[SAMELAND](2014)、[NAGA](2015)に続く、フィールドワークから生まれた写真集の第三弾となります。

[IHEYA・IZENA]  © Nao Tsuda 2016.

沖縄本島北西部に位置する二つの小島、伊平屋島と伊是名島。

津田は四年前に拠点を九州へ移しましたが、それは南方へと繋がる道を開くためだったのかもしれません。数年間をかけ二つの島を訪れ、島に住む人々との交流を重ねながら、暮らしの中に潜む小さな行いに目を向けていきました。それらは、天を仰ぐクバの茂み、お盆に先祖 を迎え・送りをする人々、供物が捧げられた聖域での祈り、古から受け継がれてきた神事に見る神人と子供の姿、就学のため春には島を離 れるという少女の踊り、雨水の滴る月桃の花、風の岩からの眺め...、という姿で現れてきました。

[IHEYA・IZENA]  © Nao Tsuda 2016.

2014年からスタートした津田直のフィールドワークのシリーズは、本書をもって一つの目標地点に到達します。
北欧のサーメ人たちを被写体にした[SAMELAND]、ミャンマーの北西部に住むナガ族を被写体にした[NAGA]、そしてこの度刊行する[IHEYA ・ IZENA]の三作品は、地理的には遠く離れていますが、いずれの土地にも人々の暮らしの中心には現代の社会が失いかけている信仰の存在があり、これらの辺境とも言える小さな地域に残っている文化や生き方を知ることで、我々に“今日の在り方”を見つめ直すきっかけを与えてくれているのではないでしょうか。
フィールドワークシリーズの最後となる本書の刊行に伴って開催される展覧会は、本書の刊行元であるlimArtが運営するアートブックショップ[POST]、47都道府県に1か所ずつ拠点をつくりながら、物販・飲食・出版・観光などを通して、47の「個性」と「息の長い、その土地らしいデザイン」を見直し、全国に向けて紹介する活動を行い、沖縄にも店舗を設ける[D&DEPARTMENT]との共同開催となります。
現代の社会が再考すべき価値観をフィールドワークのシリーズで提示する、津田 直の新しい試みをぜひご高覧ください。

[IHEYA・IZENA]  © Nao Tsuda 2016.

【展覧会】
会場:POST
東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
T 03 3713 8670
W http://post-books.info/
会期:2016年8月19日(金)〜9月17日(土) 月休み
時間:12:00~20:00

オープニングレセプション:2016年8月19日(金) 19:00~21:00

トークイベント:2016年8月20日(土) 18:00開場 / 18:30スタート
場所:POST
定員:35名
参加費:1,000円
※定員に達しましたので、お申込を終了しました。

 

会場:D&DEPARTMENT OKINAWA by OKINAWA STANDARD
沖縄県宜野湾市新城2-39-8 2階
T 098 894 2112
W http://www.d-department.com
会期:2016年9月9日(金)〜10月4日(火) 水休み
時間:11:00~19:30

トークイベント:2016年9月10日(土) 18:00開場 / 18:30スタート

 

共催
POST
D&DEPARTMENT PROJECT

協力
伊平屋村役場 一般社団法人いぜな島観光協会
Taka Ishii Gallery Photography / Film

[IHEYA・IZENA]  © Nao Tsuda 2016.

【写真集概要】
タイトル:IHEYA・IZENA
写真:津田直
テキスト:津田直、豊見山愛
アートディレクション&デザイン:田中義久
発行:limArt
仕様:182mm x 220mm 144ページ フルカラー 75図版 日英バイリンガル
初版 1,000部
ISBN:978-4-9907173-6-0
価格:3,000円+税

 

豊見山愛
沖縄県立博物館・美術館 美術館主任学芸員。浦添市美術館、沖縄県立芸術大学図書・芸術資料館を経て、現職。
おもな展覧会:「岡村吉右衛門コレクション 台湾原住民の染織」(1997年、沖縄県立芸術大学図書・藝術資料館)、現職では「名渡山愛順が 愛した沖縄」(2009年)、「いのち ― 宮良瑛子」(2016年)、「山元恵一 Le fragment du rêve(夢のかけら)」(2016年)などの展覧会や、戦前期から現代の沖縄女性アーティストを紹介するシンポジウム「沖縄から女性美術を考える」(2010年)を企画。

田中義久
Graphic Designer / Nerhol。美術館をはじめ、コマーシャルギャラリーのV.I計画や、アーティストの作品集の装丁、デザインを手がける。また飯田竜太(彫刻家)とのアーティストデュオ「Nerhol」としても活動中。
http://nerhol.com

津田直
1976年神戸生まれ。ファインダーを通して古代より綿々と続く、人と自然との関わりを翻訳し続け
ている写真家。2001年より国内外で多数の展覧会を中心に活動。シリーズに、『近づく』(2001-2004)、『漕』(2005-2009)、『SMOKE LINE』(2008)、『果てのレラ』(2009)、『Storm Last
Night』(2010)、『REBORN』(2010-)、『Earth Rain House』(2012)、『Grassland Tears』(2015-)がある。また最近では、現代美術のフィールドを越えて他分野との共同制作や雑誌連載、講演会、 特別授業を行うなど活動は多岐にわたる。 2010年、芸術選奨新人賞(美術部門)受賞。主な作品集に『漕』(主水書房)、『SMOKE LINE』(赤々舎)、『Storm Last Night』(赤々舎)がある。2014年にフィールドワークから生まれた写真集第一弾『SAMELAND』(limArt)、2015年に第二弾『NAGA』(limArt)を上梓。大阪芸術大学客員准教授。http://tsudanao.com